株主通信

トップインタビュー

米殻包装業界のフロントランナーとして収益力を高め、成長戦略に沿った「挑戦」で企業価値の向上と企業規模の拡大をめざします。

包装関連市場の変化と動向から、いち早くコストを見直し利益を確保

2023年10月期の包装関連市場のうち包装資材については、新型コロナウイルスの感染拡大にともなうさまざまな制限が緩和されるとともに、インバウンド需要の回復などを背景に業績は堅調に推移し増収・増益を達成することができました。包装機械についても部品不足が少しずつ解消されていったことが、期初からの好調な受注につながりました。

さらにグループ会社のパックウェルによる物流業界向けの梱包・発送事業に関しては、上期における為替相場が、想定よりも円高に推移したことと、環境に配慮した包装資材への需要に応えたことで売上、利益ともに回復から上向きへと推移しています。

  • 包装関連事業
  • 物流梱包事業

包装関連事業

包装資材
新型コロナウイルス感染症が5類へと移行されたことなどの影響から、人流の回復に伴い、外食関連等の業務用向け販売が堅調に推移。
包装機械
部品不足が解消され、受注、納品が堅調に推移。

物流梱包事業

脱プラスチックの風潮に沿った環境配慮型商材の拡販などにより、売上拡大。

2026年10月期までの3ヵ年で約1.3倍の企業規模拡大を目指す
「中期経営計画」を進めています

当社は2022年12月に2025年10月期をゴールとする3ヵ年の「中期経営計画」を公表いたしましたが、経営環境の変化に柔軟に対応するためにローリング方式にて見直しをおこない、2024年10月期からの3ヵ年における計画を改めて策定いたしました。重点的に取り組む方針としては昨年に引き続き「既存事業の強化」、「新市場の基盤構築」、「成長戦略の推進」の3つを掲げ、中・長期の安定的な成長と収益力のアップで約1.3倍の企業規模拡大を目指しています。

売上高を1.3倍とするために、主力の包装関連事業と物流梱包事業を堅実に拡大するとともに、成長戦略実施とM&Aによる事業、領域の拡大などで成長を目指します。3年後は、現在の主力である米殻業界での包装関連の売上を伸ばしながら、売上構成としては2/3とし、1/3を米穀以外の新市場、及び物流梱包事業+アルファとするイメージです。

  • 売上高
  • 重点施策

「中期経営計画」に沿った新しい市場の開拓と成長戦略で
企業価値の向上を目指します

「中期経営計画」の「新市場の基盤構築」に沿って、主力の米穀卸売業界以外のマーケット開拓も積極的に推進します。大手食品会社では当社の包装資材・包装機械が採用されており、チョコレート、豆類、ペットフード用原料などの工場間輸送に活用されています。これらの実績を踏まえ、導入事例の横展開を図るとともに、引き続き新たなニーズの開拓に注力いたします。

また、中長期的な企業価値向上に向けては、売上規模を拡⼤していく中で、内製⽐率も上げ、バランスの良い外注も併⽤しながら、⾼品質な製品を提供し、企業価値を上げていくために、それらに寄与する企業とのM&Aを含めたアライアンスに積極的に取り組んでまいります。

その他、サステナブルな取り組みとして、環境に配慮した包装資材の開発も実現しています。
バイオマス素材を30%使っている米袋をJAグループに提供するとともに、プラスチックに炭酸カルシウムの無機物を約30%配合した新しい米袋を開発しました。今後も企業価値を高める取り組みの一つとして、環境保全とSDGs(持続可能な開発目標)の側面からも社会に貢献していきます。

「中期経営計画」を着実に進めて、
株主の皆様のご支援に応えてまいります

2023年10月期は、経営環境を踏まえたコスト削減と顧客のニーズに即応した営業活動などを進めて、売上、営業利益ともに堅調な成長を実現することができました。
2024年10月期は2026年10月期のゴールに向けて、売上高及び営業利益の達成へ向けて着実な業績向上に取り組んでいく決意です。堅実な成長にともなう期末配当はすでに増配を発表していますが、今後も連結配当性向の目途を25%として、当期純利益を踏まえた配当を実施してまいります。

株主・投資家の皆様には、今後も当社の企業価値・企業規模拡大の取り組みに期待していただき、一層のご支援をたまわりたいと思います。

  • 株主還元

※2020年8月12日付で普通株式1株につき25株の割合で株式分割を行っており、 1株当たりの年間配当金につきましては当該株式分割後の配当額を記載しております。

業績ハイライト

包装関連、物流梱包の2事業ともに、計画以上の売上達成
増収効果に加え、コスト全般の見直しなどにより前期比19.3%増と二桁増益

  • 売上高
  • 営業利益
  • 親会社に帰属する当期純利益
決算説明資料はこちら

特別対談 のむら産業xパックウェル

特別対談 のむら産業xパックウェル「こだわりxこだわり」が生むグループのシナジー

のむら産業は米穀業界向け包装資材・計量包装機械の提供にとどまることなく、さらに幅広い分野・業界にもビジネスを広げていく目的で、2018年2月にパックウェル株式会社(以下、パックウェル)をグループ会社としています。代表取締役社長の清川悦男とパックウェルの代表取締役、元松友里の対談を通して、「のむら産業グループ」としてのこだわり、ビジネスの将来展望を紹介します。

物流業界に特化したソリューションプロバイダーとして、たしかな実績をもつパックウェル

まずパックウェルの事業内容と、のむら産業グループでの位置づけについて教えてください。

元松:パックウェルは1965年11月の設立で、物流業界で重要な梱包と出荷業務の自動化や半自動化を実現するための機器と資材を提供し、物流業界におけるお客様の業務の効率化を実現するビジネスを手がけています。

清川:のむら産業は米穀業界向けの包装資材・計量包装機械の提供が主力事業なので、パックウェルとは分野・業界がまったく異なります。ただ、包装用の資材と機器の提供でお客様の“課題=お困りごと”を解決していくというビジネスと目指す方向性が同じです。米穀業界以外にもビジネスを広げていきたいと考えていたところに、親和性のある良い会社があると紹介され、2018年2月にグループ会社に加わっていただきました。

元松:実は、のむら産業以外にも3社ほどグループ傘下にというオファーがあったのですが、他の企業は当社というより当社の“顧客”を求めていたようなんですね。それではいずれ大切な従業員・スタッフが不要になってしまう。でも、のむら産業からは「グループとして、いっしょに成長していこう」というお声がけをいただきました。当社の強みを活かしたビジネスを自由に手がけていってほしいということだったので、以来、グループとしてともに成長を続けてきています。

キャリアと実績にもとづいた“こだわり”こそ、顧客からの信頼を得るための「原点」

これまでのキャリアを振り返って、ご自身のどんなキャリアが現在の経営トップとしての姿勢に活かされていると考えますか?

清川:自動車メーカーを経て、のむら産業には技術者として入社しました。約8年、機械技術部門を経験したあと営業に移りましたが、機械技術の知識を計量包装機械のみならず包装資材の販売に活かし、それまで手つかずだった分野・業界を開拓したりした経験はいまに活きていますね。

元松:1992年8月に社名をパックウェルと改称するまでは、協立精機株式会社という私の父が立ち上げた会社でした。設立以来、お客様の困りごとを解決するため先進的な資材や機器をいち早く輸入して提供することで事業を続けてきました。一時期業績が低迷した時期があり、その赤字体質からの脱却を目指すということで財務担当として入社したのがきっかけです。2014年4月 に父から経営を引き継いで代表取締役になりましたが、最初に取り組んだのが“御用聞き営業”から“提案型営業”への大転換でした。

清川:お客様がなにを求めているか、なにがやりたいのかを聞き出すのは仕事でもっとも重要なポイントですね。

元松:海外製の資材と機器をいち早く導入しお客様に提供してきたので、しばらくは需要がありました。しかし、そのあとが問い合わせや見積もり依頼の対応などの“御用聞き”スタイルなので、販売が低迷してしまう。そんな営業の姿勢に大いに疑問を抱いて、お客様ときちんと向き合い、お客様の立場になって考え、提案をしつづける姿勢へと会社を変えていこうと取り組んできました。
提案型の営業スタイルにしていくために、お客様が困っていることを聞き出し、求めているもの、探してほしいものをフィードバックしていただけるようになる。それがまた次の提案につながっていくサイクルを生むようになりましたね。

清川:提案型の営業スタイルは、私もこれまで心がけてきた姿勢です。1社1社のお客様の課題、ニーズにマッチした“包装”の提案を日々くり返し包装資材や計量包装機械に活かしていく。それ以外にお客様からの信頼を得る営業活動はないと思っています。

“誠実”を第一に、挑戦とスピードを忘れない姿勢がビジネスを成長させていく

経営トップとして座右の銘、大切にしているキーワードを教えてください。

元松:私は経営者になる前から「清心事達」という言葉を座右の銘にしています。「心が清ければ、ことは達す」という意味ですが、たとえごまかされたり、だまされたりするようなことがあったとしても、自分は絶対に同じようなことはしないと心がけています。そして、会社の従業員・スタッフにもそうあってほしいと思っています。清川社長は名字に「清い」という文字が入っていますね(笑)。

清川:「清い」かどうかわかりませんが(笑)、のむら産業では、のむらバリューとして「挑戦」、「スピード」、「誠実」、「元気」を役職員の合言葉にしています。とくに私は、「挑戦」と「スピード」がもっとも大切だと思っています。当社が提供する包装資材・計量包装機械のクオリティーやサービスに自信があります。ただし、競合他社もありますので現状に満足することなく、性能や品質も進化し続ける「挑戦」と、それを実現する「スピード」をつねに心がけてレベルアップしていかないと、すぐに競争相手に追いつかれてしまう。
私が経営トップとして好きな言葉は、「汗は自分でかきましょう」「手柄は人にあげましょう」という言葉です。号令やスローガンをかかげて、あとは従業員・スタッフにまかせるという経営手段もありますが、私は違います。まず自分が取り組んで、お客様が当社の“信者”になるように努力して、従業員・スタッフにも利益を還元したい。そう思っています。

日々の仕事を“楽しむ”「エンジョイ・ワーク」の姿勢でビジネスを一歩前へ

働きやすい環境づくり、仕事に前向きになれる職場づくりのために取り組んでいることを教えてください。

元松:パックウェルでは、従業員・スタッフみんなで「エンジョイ・ワーク」を2024年度の目標としてかかげました。昨夏の全国高校野球では慶応高校が「エンジョイ・ベースボール」をかかげて107年ぶりの優勝を果たしましたが、同じように仕事を楽しむためにはなにが必要か、どうしたら仕事が楽しくなるかをそれぞれ考えて努力していこう、工夫しようと取り組んでいます。
とてもありがたいことに、当社はまだまだ小規模な会社なのに、複数の20代半ばの若い世代が入社してきています。そんな若い従業員が「どうしたら仕事を楽しめるようになりますか?」と聞いてくるので、それなら従業員・スタッフ全員で仕事を楽しめるよう、みんなで考えていく方向を目指しました。

清川:私はもともと、仕事がいちばん楽しいと考える人間なんで(笑)。人生を通して、会社にいる時間のほうが長いわけだから、いかに楽しく仕事をするかというのが原点になっています。

元松:それは清川社長が仕事に取り組んで、きちんと結果を出しているから楽しいんだと思います。とくに若い世代は経験も実績もまだ浅いですから、清川社長のように「仕事が楽しい」というレベルにはなっていないですね(笑)。

清川:仕事を楽しむには、どこに“やりがい”を感じるかが大切だと思います。私は強敵と言われている ような“むずかしいお客様”ほどやりがいを感じるし、好きなんです(笑)。そういうきびしいお客様ほど、困っていること、課題になっていることを聞き出してクリアしていくと、次の要望という「宿題」を出してくれる。次に挑戦すべきことを教えてくれるんですよね。それにそういうお客様のところにはライバル会社も行きづらいから、仲よくなれば独占できて一番の顧客にできるんです。

グループとしてのシナジーを活かして、コスト増の課題を乗り越える挑戦へ

最後に2024年10月期の展望をお願いします。

元松:2024年はなんといっても物流業界の「2024年問題」が大きくクローズアップされています。その2024年問題をはじめ、円安、エネルギー価格や資源の高騰、人件費アップなどの要因によるコスト高の問題に直面する中、今期以上にお客様の「お困り」を解決するソリューションプロバイダーとして、少しでもコスト軽減に貢献できるようなサービスを提供していきたいと考えています。グループとしてもさらなるコスト増が課題になってくると考えられますので、グループの一員としてシナジーを発揮してビジネスを成長させていけるよう取り組んでいきたいですね。

清川:パックウェルとは、仕入れ先や取引先を相互に活用していくなどの新しいシナジーを生む取り組みも進めています。世の中的に2024年10月期はさらなるコスト増という課題に直面すると思いますが、それらの課題1つ1つに真摯に向き合いながら、業績の面ではまだまだ“伸びしろ”がありますのでパックウェルともども堅実な成長へ向けた取り組みを進めていきます。

バックナンバー