トップインタビュー
自然災害や「令和のコメ騒動」など、稀な事業環境のなか、期初計画を上回る売上高、利益を計上
米穀業界を巡る事業環境は、昨年夏に起きたいわゆる「令和のコメ騒動」と呼ばれる家庭用向けコメ需要の急拡大により、これまでにない混乱に陥りました。当社においても、毎日のように変化する市況のなかで、米穀包装業界のパイオニアとしてお客様の要望に対応し、供給責任をしっかりと果たしてまいりました。当期は、日々の業務で大切にしているお客様ファーストの意識が、着実に実を結んだ1年となりました。
その結果、2024年10月期は、売上高・営業利益ともに過去最大。4期連続での増収増益を達成し、売上高は前期比10.7%増となる6,612百万円。各段階利益も好調に推移し、第3四半期に上方修正した業績予想を上回る着地となりました。
お客様のニーズを捉えた商品で2事業が順調に推移
包装関連事業では、「令和のコメ騒動」の影響により、包装資材の受注がリピートオーダーを中心として好調に推移しました。「令和のコメ騒動」は、令和5年産米の不作や、昨年発生した能登半島をはじめとする各地の地震による社会不安の増大など、複合的な要因による備蓄ニーズの拡大が主な理由でした。当社の取扱商品においては、長期保存可能なチャック付き資材やバリアタイプ資材などの備蓄ニーズに対応した商品、その他、新規の4kg、2kgといった小分け用包装資材の販売が売上高に寄与いたしました。
また、米穀以外の新市場に向けた拡販も順調に進捗し、豆類や菓子類、ペット用品市場など、当社の包装資材・機械が活躍する場はますます広がっています。
物流梱包事業においても、脱プラや紙資材への関心の高まりから新規引き合い、新規契約は増加中です。引き続き、顧客ニーズに訴求した営業力を強化するとともに、拡販に努めてまいります。
既存事業の強化と新市場の開拓でさらなる成長を目指す
当社ではローリング方式の中期経営計画を実施しており、今期改定した中期経営計画の最終年度(2027年10月期)目標は、売上高当期比約1.2倍の80.0億円、営業利益は約1.3倍の6.5億円。米穀市場以外の売上高3割を目指し、「既存事業の強化」「新市場の基盤構築」「成長戦略の推進」などを柱とし、中期経営計画を推進していきます。
既存事業の強化については、米穀用自動計量包装機のトップメーカーとして国内シェア拡大を目指すとともに、既存商品・サービスの開発力、提案力の強化と品質の維持向上に向けた取り組みを推進します。また、コロナ禍で停滞していた東南アジア市場の調査を引き続き進めてまいります。
その他、展示会などを活用した米穀市場以外の新市場の開拓を進めるとともに、人的投資や研究開発、M&Aなどの積極的な先行投資を実施してまいります。
今後も株主・投資家の皆様から継続的な支援をいただくために
2024年10月期は、売上高、営業利益ともに成長が実現でき、配当金は、前期から7円増配し59円の配当といたしました。2025年10月期は2027年10月期に向けて、売上高及び営業利益の達成へ向けて着実な業績向上に取り組んでいく所存です。今後も連結配当性向25%程度を目標としつつ、継続的かつ安定的に利益配分を行っていくことを基本方針としております。
当社には、日本人の主食である米穀を届ける供給責任があります。米穀市場の先行きは不透明ではありますが、今後も企業価値を向上することで、お客様の期待と株主様の期待に応え続けていきます。
株主・投資家の皆様には、引き続きご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
業績ハイライト
コメの備蓄需要の高まりにより大幅増収増益
売上高・営業利益ともに過去最高を達成
2025年10月期も成長を目込む
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- 売上高
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2022年
10月期2023年
10月期2024年
10月期2025年
10月期
(予想)
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- 営業利益
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2022年
10月期2023年
10月期2024年
10月期2025年
10月期
(予想)
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- 親会社株式に帰属する当期純利益
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2022年
10月期2023年
10月期2024年
10月期2025年
10月期
(予想)


セグメント別概況
2022年10月期
2023年10月期
2024年10月期
2022年10月期
2023年10月期
2024年10月期
株主還元
2021年10月期
2022年10月期
2023年10月期
2024年10月期
2025年10月期
(予想)
基本配当方針
事業拡大に必要な内部留保とのバランスを図りながら
連結配当性向25%程度を目標としつつ、継続的かつ安定的な配当を実施
特別対談 のむら産業×山葉印刷
創業半世紀以上の歴史を持つグラビア印刷会社
経営の危機を救ったM&A
―のむら産業グループ内での山葉印刷の位置づけについて教えてください。
久保田のむら産業グループで販売する米穀用包装袋のうち、「表面印刷」のグラビア印刷を手がけているのが山葉印刷です。のむら産業グループとして、業務連携が密に図られ、高品質・短納期で商品を供給できていることが強みです。
清川 プラスチック製フィルムの米袋に印刷する方法は、「裏刷り印刷」と「表刷り印刷」の2種類に分かれます。そのうち「裏刷り印刷」はガゼットやチャック付きの袋などで使われている印刷技術です。一方「表刷り印刷」は、ロール状になったポリ袋に色を塗り重ねてパッケージを刷る、大量生産に向いた技術です。
久保田紙への印刷とは異なり、ポリ袋のような軟包装は印刷をする過程で伸びやすく、柄ズレ(印刷位置がずれてしまうこと)が起きやすいため、特殊な技術が必要な印刷です。山葉印刷ではこのグラビア印刷機を3台保有し、のむら産業グループ傘下で米袋をはじめとしたポリ袋への印刷、ファッションバッグなどの印刷をしています。
―山葉印刷がのむら産業グループに加わった経緯について教えてください。
清川山葉印刷は元々仕入先のひとつとして、30年以上前から取引がありました。8年前の2017年、ポリエチレン印刷事業を譲り受けました。
久保田山葉印刷にとっては救世主でしたね。当時の主力事業はファッションバッグの印刷だったのですが、中国が「世界の工場」となったことで、そうした仕事が少なくなってしまった。そこで、米袋の印刷事業により力を入れていこうとなっていました。さらに、当時のオーナーには後継者がおらず、事業を続けていくかどうかのところで、M&Aの話をいただきました。
清川当社の包装関連事業の成長にとっても、印刷部門の拡大は不可欠でした。当社がお客様から信頼される理由は、なんといってもスピード感にあると思っています。
外部の印刷会社では、余計に時間がかかってしまう。山葉印刷のおかげで納期はもちろん、色見本や見積りもスピード勝負で出せるようになりましたよ。仕事にスピード違反はないからね。
久保田ですね(笑)
子会社化して実現した意識改革
グループ一丸で乗り越えた「令和のコメ騒動」
―2024年10月期には、「令和のコメ騒動」と呼ばれる米穀流通の大きな混乱がありました。現場はどうでしたか。
清川「令和のコメ騒動」では、我々も通常の倍以上のスピード感が求められる異常事態でした。お客様からは、毎週のようにオーダー変更やロット変更の依頼がありました。山葉印刷のみんなには本当にがんばってもらった。
久保田そんなスピード感でも乗り越えられたのは、子会社化以降の組織風土の改革のおかげだったと思います。元々は上層部の言うことに従うだけで、生産効率やコスト感にあまり気を向けていませんでした。上場会社の子会社として、自分たちで業務改善に取り組む風土を取り入れました。今は、改善のために言いたいことは言うといった雰囲気で、売上高は子会社化以前の2倍になっています。グラビア印刷機の台数、従業員の数は変わっていません。みんなすごく生き生きと働いてますよ。
清川特別、何かを働きかけたということはなかったと思うけどね。
久保田ありがたかったのは、画像認識機能を搭載した最新の検品機を導入したことです。グラビア印刷は、その特性上どうしても柄ズレ、印刷汚れが起きてしまうのですが、それまでは目視で検品をしていたため、大幅な効率化、品質向上につながりました。他にも色々とお願いや提案をさせていただいていますが、ノーと言われたことはありません。
清川 挑戦したいと言われたらノーとは言えないでしょ(笑)。それに、この設備投資については成果をすぐに実感できたから。
久保田今回の騒動を通じて見えてきた組織的な課題もありますが、連日フル操業で対応したことで、現場の結束力はさらに高まりました。2024年11月には、山葉印刷として社長賞もいただき、大きな自信につながりました。
導入された自動検品機。最新鋭の画像認識技術でエラー品を検出する
共通する「モノづくりへのこだわり」
新たな顧客ニーズに応えるために、事業を推進していく
―おふたりが仕事の上で大切にしていることはありますか?
久保田『いいところを真似する』ことですね。私は役員として経験も浅く、課題に直面することも少なくありません。でも周りにはアドバイスをくださる先輩がいますので、彼らのいいところを取り入れています。モノづくりにおいても、まずは真似をすることで、さらに良いものが生まれると思っています。
清川私はのむら産業に入社する前は、自動車メーカーに所属していて、小型ピックアップ車両の設計をしていました。当時、小型ピックアップ車両は、競合メーカーが圧倒的なシェアを誇っていて、それに対抗するため、様々なものを徹底的に研究していました。良いものからは、学ぶべきことがたくさんある。扱うものが米袋になってからも、その考え方は変わりません。
―おふたりのモノづくりへの考え方の共通点が見えた気がします。
今後、2社で取り組んでいきたいことはありますか?
久保田現在の米穀業界は、消費者ニーズが多様化したことによる多品種少量生産が進んでおり、米袋も将来的には小ロット化への対応が必須になってくると思います。小ロット印刷に適したデジタル印刷という技術がありますが、まだまだ採算があわない。ですが、お客様のご要望にはできる限り応えるのがのむら産業グループとしての使命です。現在も、コメの品質を長く維持する高付加価値包装の改良のため、最新のレーザー機械を活用した穴あけ加工の技術開発に取り組んでいます。
清川近年では環境配慮型商材の需要も高まっているので、印刷技術と連携した商品企画・開発も必要です。
久保田環境配慮型商材として、バイオマス素材や石灰石原料を使用した米袋も製造しています。印刷インキについても、石油由来原料を米ぬか油に置き換えた「環境調和型グラビアインキ」を使用するなど、サステナブルな取り組みも継続して行っています。
清川のむら産業グループには、お米を安心・安全な状態で届ける供給責任があります。コメが収穫されつづける限り、その責務はなくならない。誰もが明るく元気に仕事をしているのが山葉印刷のいいところ。日々の業務改善を積み重ねていってほしいですね。そして、その経験や実績を新しい市場にも生かしていきたいと思っています。
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